いじめと自殺
時々ニュースで報じられるいじめと自殺。
この問題がクローズアップされると、僕は、「なんで死んじゃうんだろう」といつも思う。
長い人生、程度の差はあれ、死にたいと思うことは一度くらい、おおよその人にはあることだと思う。
ただ僕は、死にたい、と思ったことは一度もない。
自殺 = 自分を殺すという殺人である。
人を殺してはいけない。
実にシンプルな発想だと思う。
どんな人間にもそれまで関わってきてくれた人がおそらく一人はこの世の中にいる。
だから、少なくとも、自殺した、と聞いて悲しむ人間は必ずまわりにいると思う。
僕は、この世に生きてきた以上、悲しむ人をできるだけ作らないことが人としての思いやりであって最低限の使命だと思う。
もちろん、HIVで、僕は妻を悲しませた。自分のいたらない行動のせいで。
そんな僕に、人を悲しませるなと言う資格はないのかもしれない。
でも、僕は生きている。死んだら、他にも悲しむ人が増えるだけだと思って生きている。
だから、どんなにいじめられても、HIVに感染しても、死ぬということは全く考えたことがない。
よく言われることだが、自殺する勇気があるなら、基本的にこの世の中なんとでも生きていける能力が本来その子にはあると思う。
人生は本当に長い。
こどものころにいじめられた時間は、長い人生で、ごくごくわずかなことだ。
だから絶対に死なないでほしい。
自殺という選択で、まわりの人を悲しませないでほしい。
死ねば本人はその苦しみから解放されるかもしれない。
だが、残されたまわりの人の悲しみや苦悩は、一生癒えることはない。
そんな悲しみや苦しみを一生抱えて生きる人を、あなたの自殺という手段で増やすことはやめてほしい。
「だから絶対に死なないでほしい。」