既婚バイのHIV記録

HIVに感染した既婚バイの思いのまま記録するブログです。
エイズ発症はなくほぼ普通に生きています。
これからの人生とこれまでの人生、今の自分、家族、仕事など、思いのままつぶやいていきます。

HIV感染におびえた数日 その3

僕は、その受診の日の夜、ホテルに泊まることにした。
麻疹だった場合、妻や子供にうつしてしまう可能性があること、そもそも、HIVの可能性が高いと感じていることもあって、冷静さを欠いていたからだ。


普段、まわりから、クールでいつも冷静と言われる自分は、もはや完全にいなかった。


そもそも最新のHIVについて、詳しい知識がない状態だったから、ネットサーフィンでもなんでもしながら、情報を得たかったこともあった。


チェックインし、部屋で服をぬぐと絶望的に発疹が身体に広がっている。


「あー、もー、あかん。麻疹であっくれー。」


 「麻疹症状」「麻疹発疹」「麻疹潜伏期間」。。。「HIV初期感染」「HIV症状」「HIV寿命」。。。とにかく、貪るように検索した。


やっぱり、はしかじゃないの?  いや、HIVだよ。


自分でもよくわからないもう一人の人間と会話しなながら、「はしかだよ」、
「HIVだってば」。


もー、その思考のループと落差で狂いそうだった。


気付けば朝の5時。


ホテルの部屋のバルコニーにでると、朝のよどみのない空気は凛とし、僕が健康でいれるかのようにすがすがしい気持ちにさせてくれた。


少しずつ明るくなる空は、疲れた僕を慰めるように温めてくれるような気がした。


夜が明けるまでバカみたいに飲み歩いていた懐かしくもどうしようもない学生時代の思い出がなぜかフラッシュバックしてきて、健康であることがどんなに尊く素晴らしいことなのか。。。


あー、できることなら、たった3カ月、3カ月前でいいから戻りたい。



寝よ。いくら考えても無駄無駄。寝よ。
余計体調悪くなる。明日も仕事だし。



無意識のうちにタバコに火をつけたのか、口元から吐かれた煙が苦く濃く感じて
とても気持ちが悪かった。


HIV感染におびえた数日 その2

「すみません。看護師の○○さんをよんでもらえますか。今日、受診したんですが、
聞き忘れたことがありまして。」


その日の夕方遅く、絶不調の身体に鞭って仕事を終えた僕は病院に再度訪問した。


麻疹の結果も、1週間後の再診日までまたないといけないのか、それとも、
はしか感染の結果だけ先に連絡がくるのかを全然聞いていなかったから。。。


とにかく、『はしかに感染してますよ。』という連絡を1分でも早く聞きたかった。


というのも、先生が、『はしかだと、HIVのスクリーニングは陽性になることが多い』と言っていたこと、また、日中の受診の際、HIVスクリーニングの結果はきちんと伝えらず、すぐに病院でできる血液検査の結果からは、『いろんな数値がものすごく振れているね。これはー。』っていう発言だけだったから。


とにかく、はしかであれば、HIVと同様に血液数値がぶれるんだなって、思ったので、
一刻でもはやく、はしかである結果を願った。


はしか、となることで、少しでもHIV感染の可能性が低くなる、いや、排除できるのではないか、と思いたかったからだ。


『保健所に確認してみますね。』


看護師さんが電話で保健所と話しているなか、横になりたい体調で我慢して待った。


『はしかですが、陰性の場合、すぐには連絡こないみたいです。陽性だった場合は、隔離する必要があるので、すぐに、連絡が病院にきますから、その場合は、私から連絡をいれますね』


「いや、そしたら、保健所から僕に直接電話もらえるようにお願いできますか?」


再度、保健所に電話してくれて、


『明日、もしかしたら、明後日になるかもですが、そしたら結果は、直接、患者さんに連絡してもらうようにお願いしましたので。保健所の○○さんという方から連絡があると思います。あと、保健所の電話番号、○○です。』


「ありがとうございます。保健所の○○さんですね。」


忙しい看護師さんに迷惑をかけながら、すみませんでした、という気持ちと、
早く、保健所から連絡こないかな。と思いながら、またまた、病院を後にしました。




HIV感染におびえた数日 その1

ある日の残業中、経験したことのない頭痛、悪寒、倦怠感が僕を襲いました。
なんていうか、延髄蹴りをくらったかのように後頭部から崩れ落ちる感じです。
いきなりガクって膝をつくような。
(実際に延髄蹴りはされたことがないので、延髄蹴りというのはあくまでイメージです)


とりあえず、ロキソニンのんで寝て、微熱もおさまった感じで、次の日は普通でした。
「あ、薬が効くんだ。」と思ってひと安心。


ただ、経験したことのない不調が前日にあったため、念のため、近くのクリニックに。
抗生物質もらって3日間くらいは熱もなく順調。


4日目、喉痛がひどい。ん、これは、と思い、別の内科に。
「扁桃腺炎ですねー。ただ治りかけですよ。」ということで、さらにひと安心。


そしたら。。。


その日の夜、なんとなく、あなた、肌が赤くないですかね ?  と思い、鏡の前に。
よく鏡をみると、胸のあたりに3つ、両腕に4つ赤身のある発疹。


やばい。絶対やばい。これ来たかも。


発疹とか30年ちかくでたことない。。。うぉーって、心のなかで叫びながら、
しばらくあたふた。


寝よ。とりあえず、寝よ。考えても仕方ない。寝よ。


翌朝、胸の発疹5つ、両腕に8つ、四肢のつけねと両くるぶしのあたりに赤紫の皮疹。
ダメだー。大きい病院にいこ。


「すみません。HIVの検査してください。数カ月前に関係もった方に暴露されました。」


『そうなんですか。とりあえず、口の中見せてもらえますか ? 
 あー、ありますねー。○○○班。 最近、関西空港とか行きました?』


「あ、行きました。関空、成田、羽田、大阪駅、京都駅、たくさん行ってます。」


『麻疹の可能性ありますねー。』


「え、はしか?」


『麻疹の時にできる白い○○○班が歯茎の根元にありますよ。最近、流行ってますから。』
『とりあえず、無菌室に行って、はしかの検体とります。で、HIV検査もやりますか?』


「はい、お願いします」


『はしかの結果は2、3日かかります。HIVも1週間後ですね。』



麻疹 !?



その可能性は全く想定してなかった。



ていうか、麻疹であって欲しい!     頼む!!


と思いながら、その日は、病院を後にしたのでした。