既婚バイのHIV記録

HIVに感染した既婚バイの思いのまま記録するブログです。
エイズ発症はなくほぼ普通に生きています。
これからの人生とこれまでの人生、今の自分、家族、仕事など、思いのままつぶやいていきます。

HIV感染におびえた数日 その6 : 最後の日

次の診察日(検査結果通知)の前日、やはり、仕事を優先せざるを得ない状況だった。
病院にはほんとに行く暇がない。。。


看護師さんに電話をし、どうしても明日予定がつかないことを伝え、次にいけそうな日をあらためて見つけて連絡すると伝えた。


その後、予定の変更・変更・変更の連絡を重ね、ある日、看護師さんに電話でマジ切れされて怒られた。



『来院して医師の話を聞いてください。きちんと話を聞いてもらわないと困ります。』



「いや、行きますから。 仕事が落ち着くまでまってください。」


  ん、ていうか、その口ぶり、にわかに + と告知してますかね?
 と思いながら聞いてたところ、



次の瞬間、



『CD4  50もないんですよ。早く来て先生の話を聞いてください』



「え、50 ないって 何 ? 」


「 CD4 って、200以下だとエイズ発症する状態とかでないんですかね? 
 そんなに悪いんですか? 」



自分の中では、HIVになっていても、 CD4 が200以下ということはないだろうと思っていたから、50もない、という言葉は、かなりの衝撃だった。



しかし、ここで最も衝撃だったのは、電話で告知されたことだ。



ていうか、HIV検査の結果、「残念ですがあなたは陽性です」とかいう告知でもなく、
何で、いきなり、CD4 の数から告知されてんねん!!  うそやろ。しかも電話で。笑。



HIV検査の結果って、普通、診察の時とかに、面前で相手を確認して話すんとちゃうんかい!!!

しかも、なんで、切れ気味の看護師が電話で、ポロッと、言うわけ ?


守秘義務とか情報管理とかどないなってんねん。


てか、俺、 確定やん。感染してんやん。やっぱり。 もう。なんやねん。



 ということで、何の間違いか知らないですが、HIV陽性と電話で伝えられた。笑




もちろん、気が付けば、1ヶ月近く病院に行けなかった自分が悪いんですけどね。


それでも、普通、電話でいいますかね? ? ?



そんなこんなで、 僕の結果聞くまでの恐怖の日々は、あっさりと思いもよらぬ形で終了。


HIV感染におびえた数日 その5

発疹を確認した週末、僕はこどもとプールに行く約束をしていた。


妻が楽しそうにネットサーフィンして新調した2着の子供用のかわいい水着。
これをこどもに着せ、楽しい家族写真を楽しみにしていた週末だった。



週末まであと2日。その2日間の猶予で発疹がどうにか消えることを僕は願った。



むかえた土曜日の朝、僕のそんな願いはまったく叶わなかった。
見たこともない、身震いしそう強烈な全身発疹が、その日、僕を襲っていた。


見た目も異様で、自分の身体を鏡で見ただけで鳥肌がたちそうだったが、鳥肌がでるまでもなく、全身が発疹に覆われていた。


熱は38.7度。体温としてはみごとに記録更新。
後から考えると、CD4が一番下がっていた日に違いない。



延髄蹴りをくらったあの日の夜から、僕は自分の身体の変化を毎日メモと写真に記録していたのだが、あまりの残酷な最強発疹軍の写真を撮影記録することはできなかった。


後日、もう一度とも見たくない劣悪さだった。






午後、それでも僕は水の中にいた。
こどもを抱えて、プールの中で、できるだけの笑顔をふりまいた。


もしかしたら、こどもとプールで撮影できる最後の写真になるかもしれない。
何度も涙が溢れそうになった。


HIVで死ぬことはほとんどないかもしれない。
でもこの先、こどもといつまで一緒にいれるかはやはりわからない。


ラッシュガード(長袖の上着の水着)に、長めの脚足のスイムパンツを選び、
できるだけ皮膚の露出が少なくなるようにして、遠目から写真を撮ったりした。


が、やっぱりアップだと、なかなかの痛々しい顔の画だった。


プールサイドのデッキチェアで撮影した写真を再生していると、それでもけっこう、
楽しそな写真がたくさんとれていた !  



が、数枚の写真にうつる、不安気な顔をした子どもの写真がやはり胸に刺さった。



こどもながらに全部わかっているんだろうな。。。



日が暮れる前に家に帰り、こどもを急いでお風呂にいれた記憶はあるが、
気がつけば僕は翌朝のベッドの中だった。


HIV感染におびえた数日 その4

朝7時半、ホテルの部屋のベルが鳴っていた。どのくらい待たせたのかはわからない。
朝食にお願いしたルームサービスだった。


「ごめんなさい。待たせましたよね。」


扉をあけると、一流ファッション誌 にでてそうな、長身のイケメンが待っていました。


『ご朝食をお持ちしました。。。。説明させていただきますね。。。○○××。。。』


「あ、わざわざ丁寧に説明ありがとうございます。」


というか、寝ぼけとあまりのイケメンぷりに、顔しか見てなかったので何言ってたのかさっぱり聞いてませんでした。


さ、食べよかな。
あー、やっぱり全然食欲ないな。熱ははかろ。
38.3度。今までで一番熱あるし。


鏡。鏡。あ、おでこにも発疹できてる。だめだなこれ。
会社は休んで、ホテルもう一泊しよ。


そんなこんなで、昼過ぎまでまた寝てしまった。


16時に目がさめて、あわてて携帯電話をみた。



保健所は!?



着信はなかった。 その後、17時になっても電話はならない。


とにかく、緊張の時間が過ぎていった。


17時30分、自分からたまらず電話した。


「もしもし、○○さんいますか。」


『はい、○○です。』


「あの、昨日、麻疹の検体まわってる○○といいますが、忙しいところ申し訳ありませんが、結果まだでてないですか?」


『あー、麻疹流行っていて、検査が混み合ってるみたいで、まだなんです。すみません。』


今日は、もう連絡ないだろうな、と思いながら、やっぱり家に帰るかどうか30分くらい悩んでいたら、18時すぎに着信音!! きた!!!



「はい、○○です」



『あ、○○さんですね。お待たせしました。』




『結果』




『陰性でしたよ!』


『よかったですね!!』


『お大事になさってください!!!』





「あ、そうですか。ありがとうございました。」




全然良くない。
全然良くない。。
全然よくない。。。。

良いけど、良くない。。。。。。。。



終わった。
もう、終わった。


そうだとは思っていたけどね。。



妻のこと、子供のこと、親のこと、兄弟のこと、これからのこと、いろんなことが
頭を駆け巡り、自然に涙があふれていた。



とくに
妻にも感染させたかもしれないということと
子供をどうやって育てていくのかということ
もし妻にも感染していたら、子供はどうなるのかということ



ただただ頭をかかえながら、涙がとまらなかった。